備忘録(15)日米韓の「ミニNATO」?
日米韓の首脳会談が8月18日、米ワシントン郊外のキャンプデービッドで開かれ、この3か国による首脳会談などの枠組みを今後も継続することなどで合意しました。
何も目新しいことはないように見えるのですが、米国にとっては、核とミサイルの脅威を高める北朝鮮と台湾との緊張が高まる中国に対して、日米韓の三国が連携・協力する軍事的な同盟関係を構築する、という狙いがあったのだと思います。
その意味では、北朝鮮のミサイル警戒データを3か国がリアルタイムで共有するシステムの構築など、米本土に届く北朝鮮のミサイル開発に神経をとがらす米国は具体的な成果をあげたといえます。
また、3か国の首脳会談に先立つ米韓、日米の首脳会談では、「インド太平洋の平和と安定」という戦略的な目標に「台湾海峡」が含まれることが確認されました。日米間では、台湾有事の際の日本のコミットメントが進んでいますが、米韓間でも、「台湾海峡」が共有された戦略的な意味は大きいと思います。
会談に先立ってのサリバン米大統領補佐官のブリーフィングでは、記者から、「日米韓の首脳会談は、中国から見ると、太平洋におけるミニNATOと映るのではないか」という質問が出ました。これに対してサリバン補佐官は、「ミニNATOではない」と、否定したうえで、インド太平洋の安定と安全は、この地域のあらゆる国の経済的な活動を進めるうえでの好条件となり、「そこには中国も含んでいる」と答えました。
しかし、東アジアにおける「ミニNATO」が中国を刺激するのは明らかで、中国の共産党の機関紙「環球時報」は19日付けの社説で、日本と韓国が政治と安全保障で米国と結び付きながら、経済では「東風」を活用する「完全なるバランス」なぞ存在しない、と警告しています。
米大統領専用の保養地であるキャンプデービッドは、何度も外交の舞台に使われていますが、バイデン大統領が外国の首脳を招いたのは今回の会談が初めてだそうです。「異例の厚遇」なのでしょうが、「馳走終わらば油断すな」のたとえもあります。台湾海峡どころか東シナ海全体が波高しとなるのは避けたいところです。
(冒頭の写真は官邸のHPから)
政治 | 国際の関連記事
前の記事へ | 次の記事へ |
コメントする