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パンデミックで変貌する世界

2020.04.29 Wed

パンデミックという言葉で、私が連想したのは、1995年に公開された米映画『アウトブレイク』です。アフリカから米国に入ってきた未知のウイルスと戦う軍医(ダスティン・ホフマン)の物語です。映画ですから、感染力も致死率もめちゃくちゃ高く描かれていて、こんなウイルスがパンデミックを引き起こしたら、人類は滅びてしまうと思いました。

 

しかし、今回のコロナ禍でわかったのは、人類を滅ぼすとは言いませんが、世界経済に大きな打撃を与えるには、感染力も致死率も、それほど高くないウイルスでも十分だということです。WHOの4月28日報告では、世界の感染者は300万人、死者は20万人となっています。世界77億の人口に対する感染率は0.03%、感染者に対する致死率は6.6%です。映画がイメージさせるようなウイルスではなくても、世界の人々を震撼させ、世界経済を委縮させているのです。

 

米商務省は4月29日、今年第1四半期(1-3月)の国民総生産(GDP)の成長率が前期比年率換算で4.8%減になったと発表しました。マイナス成長は2014年以来で、下げ幅は2008年のリーマンショック以来だと米紙は伝えています。(下のグラフはニューヨークタイムズ電子版に掲載された米GDP成長率を示すグラフ)

世界経済フォーラムの『グローバルリスク報告書2020』は、感染症について、下記のような警告を発していました。

 

195か国にわたる健康保障および健康対策に関する、近年初の総合実態調査により、世界中の国々がエピデミック(流行)やパンデミック(世界的な流行)に対して総じて手薄になっている点が判明した。同時に、感染症危機の社会的および経済的影響に対して、全般的に脆弱性が増しているようだ。

 

新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、まさに世界の「全般的な脆弱性」がはっきりしたわけで、コロナによって世界そのものも変貌していくように思えます。どう変貌するか、あるいは変貌させるかによって、私たちの生活も

大きく変わっていくことでしょう。

 

経済ナショナリズム

 

中国政府が発表したことし第1四半期(1~3月)の国内総生産(GDP)成長率は、統計が公表された1992年以来初めてのマイナス成長となる前年同期比6.8%減でした。中国国内の消費も生産もコロナで大きく落ち込んでいることがわかりますが、中国は世界に商品や部品を供給する「世界の工場」ですから、これだけの経済停滞は、中国製品を売る世界のマーケットや中国部品を使う世界の製造業にも大きなダメージを与えていると思います。

 

米議会予算局は、ことし第2四半期の経済成長率を前期比で40%減、失業率も14%になるという予測を出しました。成長率がこれだけ落ち込むことになれば、100年前の大恐慌以来だと米紙は報じています。失業保険の申請件数も、非常事態宣言が出た3月中旬から4月下旬までの6週間で3000万件を超え、米国の労働者の5人に1人が失職している計算になります。2008年のリーマンショックによる世界的な不況で米国の失業率は2009年秋に10%に達しましたが、今回のコロナ不況は、これよりもはるかに高い失業率になりそうです。コロナ収束による経済活動の再開が遅れれば、不況と言うよりも恐慌と呼ぶほうがふさわしい状態になるかもしれません。

 

日本は、昨年10月からの消費増税で、昨年第4四半期が前期比年率7.1%減となり、景気後退期に入ったとみられていたところへ、コロナショックが重なり、第1四半期から第2四半期にかけて相当な落ち込みが予想されます。三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、7月にコロナ感染が収束するという前提で、第2四半期は11.3%減となりますが、第3四半期は9.5%増となり、回復基調になると予測しています。現状をみると、7月から経済活動が全面的に正常化するのは難しそうですから、こうした予測も「下振れ」する可能性が強く、日本も「コロナ不況」が長期化する可能性は十分にあります。

 

今回のコロナ禍ではっきりしたトレンドは、経済ナショナリズムの台頭です。1990年に冷戦が終わり、世界経済はグローバリゼーションの時代に入ったといわれました。資本自由化が進み、資本は、賃金の安い国家・地域で生産し、利益率の高い産業に投資を振り向け、新しい消費市場を開拓していく、という流れです。このグローバリゼーションの旗手は米国で、ナイキやアマゾン、グーグルのような米国企業が世界市場を席捲しました。

 

しかし、このところの経済の流れは、グローバリゼーションと逆行していて、アマゾンやグーグルは中国市場から撤退しました。アマゾンは、アリババが圧倒的な中国市場に食い込めなかった、グーグルは中国側の検閲がネックになった、などの理由があるようですが、その背後には、自国の企業を優先させようとする中国の経済ナショナリズムが見え隠れします。米国のトランプ大統領も米国第一主義を掲げ、中国のファーウェイは米国市場から締め出されようとしています。

 

今回のコロナ禍は、グローバリゼーションに反する経済ナショナリズムの動きを加速させています。中国の生産活動がほとんど止まったことで、中国から部品を調達して組み立てるサプライチェーンが切断され、世界の電子製品メーカーや自動車メーカーは、製造ラインに狂いが生じました。これからは、リスク分散でサプライチェーンの複数化とともに、自国での生産をふやす企業が世界中でふえることでしょう。

 

今回のコロナ禍で、日本では食料不足は起きていませんが、米国では、食肉工場が従業員のコロナ感染で生産中止に追い込まれていることもあり、豚肉や牛肉の不足が懸念されています。4月21日のG20農業大臣臨時会合で、国連食糧農業機関(FAO)と国際農業開発基金(IFAD)などの国際機関は共同声明で、パンデミックによる食料アクセスへの悪影響への悪影響が懸念されると、と世界に次のような警告を発しました。

 

パンデミックはすでにフードシステム全体に影響を及ぼしています。国内外での移動制限は、食料関連の物流サービスを妨げ、フードサプライチェーン全体に支障をきたし、食料の入手に影響を与えます。農業労働力の動きと農業資材の供給への影響は、近々、食料生産に重大な困難をもたらし、それにより、すべての人々の食料安全保障を脅かし、そして、最も貧しい国々に住む特に困難な状況にある人々を直撃するでしょう。

 

共同声明は、とくに人道上の問題がすでに発生している紛争国や最貧国などへの影響を懸念していますが、実際に食料の輸出を制限する国もでてきています。世界的には食料生産は足りていても、生産国が輸出を規制したり、船舶や航空などの輸送が停滞したりすれば、最貧国以外の消費国への供給が減るおそれもあります。そうなると、買いだめがおきたり、価格が上昇したりして、食糧危機が起こるおそれもあります。(下の写真はFAOのHPに掲載された飢餓に苦しむ西アフリカの風景)
下の

食料は国の安全保障として優先度の高いものですが、コロナ禍はあらためて安全保障としての食料自給率の向上を促すことになるでしょう。これも経済ナショナリズムになるかもしれません。

 

注意しなければならないのは、経済ナショナリズムは国際分業を否定することになり、経済的には非効率なだけではなく、グローバリゼーションの流れが世界全体の経済水準を向上させてきたことを帳消しにするおそれがあることです。食料安保やサプライチェーンのリスク分散の必要性は以前よりも高まっていますし、グローバリゼーションが世界資本による途上国の人々の搾取を進めていることも事実です。しかし、だからといって、経済ナショナリズムを全面的に肯定するわけにはいきません。関税率を引き上げ、ブロック経済を固めたことが第2次大戦の遠因になったことを忘れることはできません。

 

デフレのちインフレ?

 

コロナによる外出や商店の閉鎖は、人々の消費を大幅に落ち込ませています。需要が減るのですから、供給量もそれにあわせて減らなければ供給過剰になり価格が下がります。当面、消費者の需要がすぐに回復するとは思えませんし、失業したり、賃金が下がったりする人がふえれば、需要はさらに落ち込みます。そう考えると、物価が下がるデフレになりそうです。原油価格の暴落は、世界的なデフレの兆しといえるでしょう。

 

日本の第2四半期の経済成長率が10%を超えるマイナスになるというシンクタンクの予測を紹介しました。日本のGDPは2019年推計で567兆円ですから、60兆円近い付加価値の消失です。これを売り上げにすれば3倍程度の180兆円となりますが、四半期ですから4月から6月の売り上げが180兆円の4分の1約45兆円消えてしまうという計算になります。

 

政府は、100兆円を超える経済対策を実施することにしていますが、実際にこの時期に使われる財政資金は限られていて、45兆円を下回るでしょうから、ここだけ考えると、デフレ傾向になるということでしょう。

 

しかし、忘れていけないのは、「財政政策や金融政策の失敗がインフレを引き起こす」というオオカミ少年の叫びです。今回のコロナによる経済活動の消失を補うために、どこの国でも大規模な財政政策を発動する一方、中央銀行も国債などなどを購入することで、市中への資金(マネー)の供給をふやしています。財政も金融もアクセルを目いっぱい踏んでいる状態です。こんどこそオオカミ(インフレ)が襲うかもしれないのです。

 

実物経済からみれば、需要が減退するのですから供給過剰でデフレになりますが、経済ナショナリズムの傾向が高まれば、生産コストが上昇することも注意する必要があります。中国からマスクを輸入する代わりに国産に切り替えれば、販売価格も高くなります。一方、金融経済からみれば、通貨を過剰に供給すれば、通貨価値が下がりインフレになります。

 

日本銀行は4月27日の金融政策決定会合で、日銀が市場から購入する国債の限度額を撤廃することを決めました。日銀が政府から直接、国債を買うことは財政法で禁じられています。これを認めれば、財政規律が失われ、インフレを招くことになるからです。日銀は、直接引き受けではなく発行済みの国債を債券市場で買っているのですが、2019年末の発行済み国債1132兆円の保有者をみると、43.7%が日銀です。国債の半分近くを中央銀行が保有しているというのは、異常です。

 

日本の国債については、いまでも異常事態なのですから、ここで国債購入の限度をはずすとなると、財政規律だけでなく中央銀行の規律も失われていく可能性があります。その先はインフレということになります。

 

デフレかインフレか、競馬の予想屋ではありませんが、私が小さな紙片に赤鉛筆で書くなら、「デフレのちインフレ」です。インフレに敏感な欧米は金融面からインフレ色が強まり、それにつれて通貨安となり、インフレに鈍感な日本は、欧米の通貨安の影響で円高となり、デフレ色が強まるが、いずれ1年をまたず世界的なインフレの波に押されてインフレになる、というシナリオです。

 

2008年のリーマンショックは、サブプライムローンという米国のリスクの高い不動産の債権を組み入れた多くの証券が不良債権化したことによる金融危機で、今回はコロナによる供給と需要の一時的な消失という実物経済からの危機で、危機の原因は違います。

 

しかし、原油価格の暴落は、採算ラインの高い米国でのシェールガス・石油生産を直撃し、こうした企業が発行する社債などを組み入れた金融商品が不良債権化し、サブプライムローンと同じような金融危機のおそれが出てきました。リーマンショックを学んだ米国の中央銀行(連銀)は、こうした債権を買い入れることで金融危機になるのを防いでいますが、これも米国発のインフレとドル安(円高)要因になるでしょう。

 

第4次産業革命の加速

 

会社業務のテレワーク、学校教育のオンライン授業、オンライン飲み会など、これまで以上にインターネットによるコミュニケーションができているようで、コロナによって、ビジネスも含めた社会のあり方がずいぶんと変わるように思えます。(下のポスターは政府が2015年から11月をテレワーク月間として普及を呼びかけたポスター)

朝日新聞(4月27日)に掲載されていた米国の政治学者イアン・ブレマー氏のインタビューのなかで、パンデミック後の世界について、「今までとはまったく違う世界になります」として、次のように語っているのが印象に残りました。

 

経済活動は世界に広がるグローバル展開から、消費者に近いローカルなものに移行するでしょう。人の作業がなくても済むオートメーションも進み、世界の経済人が将来のものとして予想していた第4次産業革命が一気に到来します。

 

18世紀から19世紀にかけての蒸気機関の発達に伴う第1次、19世紀後半から20世紀前半にかけての電機や内燃機関による第2次、20世紀後半のコンピューターを中心とする第3次、そして、21世紀は情報技術の発展による人工知能(AI)などの第4次産業革命が世界を変えるというわけです。

 

コロナの感染を防ぐ手立てとして外出の自粛という100年前のスペイン風邪の流行時と同じ方法が有効だということで、日本ではスマホの位置情報をもとにした繁華街などの人の流れデータ化され、公表されました。海外では、同じデータを使って、感染者の発症前後の行動を地図上に示して「濃厚接触者」の注意を促したり、感染者の住む地域を特定させ、貧困層が多い地域で感染が多発していることを示したり、といった活用法も行われています。

 

こうしたビッグデータの応用は、感染を抑えるには有効だということを実感させました。と同時に、スマホを身に付けて行動している私たちにプライバシーはないも同然だということもわかりました。

 

テレワークを実行している会社では、やればできるんだ、という実感を持っているところも多いと思います。会社員は、会社に出社して、仕事をするのが当たり前でしたが、在宅勤務が当たり前になれば、会社にとっては、社員の働く場所を確保するためのオフィスの賃貸料とか、交通費などのコストを削減することができるようになります。

 

私の新聞記者としての最後の職場は石巻支局でした。一人勤務で支局は住宅も兼ねていて、原稿や写真はパソコンを通じて本社に送り、その原稿を仙台総局のデスクが編集していました。仙台総局の記者たちとのコミュニケーションは月に1回程度開かれるミーティングや送別会などのときでした。職場の同僚とほぼ毎晩、飲みながら、情報交換やメディア論をしていた本社勤務のころと比べれば、さみしい気もしましたが、妻も含めての地元の人たちとの交流は楽しいもので、家族ぐるみの友人もたくさんできました。

 

原始的なテレワークかもしれませんが、「職住一体」という経験は初めてで、仕事の途中でも、ドアをあければ、昼食も夕食を食べられるというのは便利でしたし、夫婦の会話もふえました。若いころであれば、家族のありかたもずいぶん変わっていたと思います。

 

テレワークの広がりは、オフィスの仕事を外部化しても大丈夫だという自信を企業に与えたかもしれません。そうなると、いまは派遣切りが問題になっていますが、コロナ後は、事務作業の効率化のために、正社員のリストラが進むかもしれません。新たな雇用問題です。

 

私たちの消費生活も変化しています。いつのまにかネット通販への依存度が高まっています。テレビで、ウーバーイーツのCMをよく見ます。なんの会社かと思ったら、ファストフードやレストランなどの料理を宅配するサービスだそうで、出前の専業化ですね。消費の世界でも、第4次産業革命は進みそうです。

 

経済の仕組みの転換

 

コロナ不況を通じて第4次産業革命の進行が早まるものと思われますが、そうなると、経済の仕組みの転換も早める必要があると思います。AIがいずれ人に取って代わっていろいろな仕事をするようになると、多くの人々が仕事を失うと予想されています。資本ではなく人がAIを所有する仕組みに変えないと、AIによって人が労働から解放されるのではなく、労働力という商品をAIに奪われた失業者であふれることになりかねません。

 

今回のコロナウイルスのパンデミックで、医療崩壊で多くの死者を出したイタリアは、財政が慢性的に悪化しているため、医療への予算が削られてきたようです。健全な財政を維持してきたドイツは医療体制が充実していたことで、コロナの死者を少なく抑えてきました。米国は、最先端の医療技術を誇ってきましたが、そうした医療の恩恵に浴することができない貧困層で多くの死者を出しています。

 

財政赤字では、EUの劣等生と言われるイタリアよりはるかに悪い日本はどうでしょうか。国内総生産のどれだけが医療関係費に使われているかというOECDの国際比較(2018年)をみると、米国16.9%、ドイツ11.2%、日本10.9%、イタリア8.8%で、米国は医療大国、イタリアは医療小国であることがわかります。この費用をだれが負担しているかで、政府及び義務的な保険の対GDP比率をみると、米国84.5%、ドイツ84.5%、日本84.1%、イタリア74.2%で、ここでもイタリアの公的な医療支出が抑えられていることがわかります。

 

米国が公的な支出の比率が高いのに驚いたのですが、2013年までは40%台で、2014年から80%台に跳ね上がっています。オバマ政権の医療改革が公的負担の増加という点で、思い切った改革であり、保守層から嫌われたことがよくわかる数字です。高齢化がどこよりも進んでいる日本がドイツ並みの医療水準を確保しようとすれば、もっと医療関係費の支出比率が高くなり、社会保障費全体も増加することになるでしょう。

 

日本は、高齢化にあわせて社会保障費が膨れ上がるのを抑えようと、医療費の自己負担の引き上げなどしています。しかし、今回のコロナ禍で、感染症に対応できる病床数、集中治療室(ICU)、医療従事者、研究スタッフなどが十分とはいえないことが明らかになりました。

 

今回のコロナ禍における米国とイタリアの「失敗」を考えると、財政をしぼれば、イタリアのようになるし、貧しい人たちへの医療の提供が不十分だと医療費全体が大きくても救えない命がある米国のようになる、ということです。日本が目標とするのはドイツということになるのでしょうか。財務省の「日本の財政関係資料」(2019年)によると、国内総生産に占める政府の社会保障支出の比率は、ドイツが26.4%、日本が23.8%、税金や社会保険料をあわせた国民負担率はドイツが53.4%、日本が42.8%です。(下のグラフは上記財務省資料に掲載された国民負担率の国際比較)

戦後の日本は、なんでも米国を手本にしてきました。しかし、国民のだれもが幸福を追求できる国のありかたを考えるには、ソ連・東欧型の社会主義を意識しながら発展してきた北欧・西欧型の社会民主主義の現在のありようが参考になると思います。コロナ禍が最終的に落ち着くには、ワクチンが開発されない限り、国民の6割程度がコロナに感染して「集団免疫」を獲得するしかないのでしょう。それまでは、医療から雇用まで幅広い社会政策が求められる不況時代を覚悟しなければならないと思います。ここで、国ありようを市場経済万能主義から日本型の社会民主主義にシフトすることができれば、第4次産業革命の果てにあるAI時代にも、社会が対応できるのではないでしょうか。

 

ポピュリズムの終わり

 

「有事の政治家に求められるのは誠実さ」(3月28日)でも書きましたが、パンデミックのような有事に際して、政治家に求められるのは誠実さだと思います。いま、多くの国でポピュリストの呼ばれる政治家が政権を担っていますが、今回のパンデミックで、その人たちの化けの皮がはがれているように思えます。

 

その典型がトランプ大統領で、コロナ騒ぎはすぐに終わるといった楽観論は、感染の蔓延という厳しい現実によって覆されたにもかかわらず、経済活動の再開を促すなど、新型コロナ感染症という現実をしっかりと受け止めていないように思えます。「消毒液を注射したらどうか」と記者会見での発言は、国民を危険にさらす暴言でしたが、その後もまったく訂正や反省の言葉を口にしていません。

 

当初はPCR検査や外出規制に消極的だった英国のジョンソン首相、新型コロナを「ちょっとした風邪」と軽視しているブラジルのボルソナラ大統領などポピュリスト的なリーダーのコロナ対応は、多くの国民に不安を与えたのではないでしょうか。マスク2枚を全世帯に配った安倍首相も、ポピュリスト的な指導者に入るかもしれません。

 

ギャラップ社の直近の世論調査では、トランプ大統領の支持率は43%で、不支持率の54%が上回っていますが、11月の選挙では、再選される可能性は十分にあります。ポピュリストの化けの皮がはがれた、といっても、共和党員からの支持を失ったわけではありません。しかし、現実よりも楽観的希望で国民を酔わせる手法の危うさがこのコロナ禍でより明確になったと思います。これは、ほかの国でも同じではないでしょうか。

 

コロナはいろいろなところで、世界を変貌させているのです。

(冒頭の写真はWHOのHPに掲載された新型コロナウイルス)


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