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天皇退位の歴史的意義

2017.06.24 Sat
社会

天皇退位の歴史的意義      平成29年(2017)6月
仲津 真治

今上天皇の退位を認める特例法が、この六月成立しました。 一代限りの退位を
容認したもので、これは、 天皇の終身在位を定めた明治以降で初めてのこと、
国民が陛下の御高齢などに広く理解と共感を示したからと言われ、約二百年ぶり
の生前退位が実現することとなりました。退位は今上陛下一代を対象としますが、
政府は「将来の先例となり得る」との見解を示しています。斯くて、私どもが、
学校で習った仕組みと慣行が変わることとなり、ここにも時代の変化を感じさせ
るものがあります。

今後、改元や儀式など代替わりに向けた準備が加速する由です。つまり、
平成という元号は改まることとなり、一世一元は貫かれることとなります。日本
の独自性は保たれる分けです。

ここで、プレスなどが報じない、この事象の歴史的意義を捉まえたいと思います。
それは、「万世一系」の伝統社会がこの日本に今なお続き、承継されていくと言
う事です。 皇位継承は皇室典範という法律できちんと法定され、今回特例とし
て生前退位と譲位が、諸調整を経た一体を成す法的手当によって、滞りなく、平
和裏に行われたのです。

この点、隣国の中国にあった例と実際は、全く対照的で、その底流は「易姓革命」
でした。 王朝が変わると、天の命を受けたと言う天子が、新たな有徳の子とし
て天下に号令、人々はこれに従わされました。 それが易姓革命と言われる所以
は、天子(新権力者)の姓が変わったからです。そのたびに、現実には天下大乱し、
人々が殺し合い、流民が逃げ惑いました。

これに対し、万世一系で治って来た日本では、帝位の簒奪などは起きず、平家も、
源氏も、織田も、豊臣も、徳川も、天下人で在り、大君と呼ばれ、実権を掌握し
ても、王朝は変わらなかったのです。

これは権威と権力を峻別し、区分する知恵が歴史的に蓄積され、良く働いた
からと思われます。典型は、徳川幕藩体制でしょうか。三百近くもいた諸侯が、
各々武力を持ち、司法と行政を握っていても、三百年近く安寧秩序を保っていた
とは、世界的にも奇跡的なことと云えるでしょう。

今時の今上陛下の退位と、皇太子の即位は、日本の伝統社会の知恵と
仕組みが将に生きた好例と思われます。諸外国に誇れることと存じます。

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