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ノーベル賞の偉力は凄い。講演で重力の本質を感じた!

2016.04.25 Mon
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この4月、東大の安田講堂で同大学の理学部主催により、第28回の公開講演会が行われました。今回は梶田隆章教授ノーベル賞受賞記念と銘打たれていて、テーマは「カミオカから宇宙をみる」と題されていました。

今も、昨年末のノーベル物理学賞で注目を浴びているからか、本講演の在る大講堂には一千名近い入場者が入っていました。大変な関心の広がりで、多数の高校生を初めとする若人、結構大勢の女性、家族連れ、年配の人々などなど、様々の服装の人々の大いなる参会振りに圧倒されたものです。テーマは、「神岡で捉えたニュートリノ」、「ニュートリノ研究の発展と展望」、「重力波で探る宇宙」の三つから成り、いずれも難しくずぶの素人の私などには難題ばかりの感がありましたが、三時間近く何とか拝視聴出来たと思います。

この中で一点、日常との関連で「これは」と思えたのは、「重力波乃至重力」の事でした。20世紀の初頭、かのアインシュタイン(1879~1955)は、ニュートン(1642~1727)の言う「万有引力」の考え方に取って代わる理論を展開した由、それは1915年に完成させた「一般相対性理論」に基づき、その翌年に、「重力とは時空の歪みの変動が波として伝わる現象である」として、重力波の存在を予言した事だと申します。

そして、その約百年後の2015年9月に、地球から約13億光年離れた場所で発生した、2個の巨大なブラックホール(太陽の約30倍の質量を持つとのこと)の合体による重力波を、米国内でほぼ三千km離れた地点に置かれた二台のLIGO(大型レーザー干渉計重力波望遠鏡)により、僅かな時間差で各々観測したと言うのです。その事は、その後の慎重且つ周到な確認と検証を経て、本年2月公式発表に至ったと申します。斯くて約13億年前に大宇宙の一角で起きた重力波が、この地球にも到達、今観測された事になる分けで、これでアインシュタイン最後の宿題が解消したと言われていると言うのです。

これを聞いて、私はそれは凄いと思い、また、アインシュタインのほぼ理論通りの事が確かめられたことも知って一段と驚きましたが、同時に日常の体験とかなり違うなとも思いました。と言うのは、質量による重さは微弱でも何でも無く、手に持つ物始め常に感じているからです。

そこで、講師の安東正樹准教授に御講演後、直接質問できる機会を得るべく、司会者の指示に従いました。順番を待つと暫時して、それは実現致しました。良かったと思います。拙問の趣旨は「重力波は実に微弱で容易に検知できないと申します。でも、私どもは体重始め日々重さを実感しています。重力が極めて微弱と言うのに、ではこの日常の重さをどう理解したら宜しいのですか」と言うものでした。

これについての安東先生のお答えは、意味深長なものでした。曰く、「その問いは実は結構深いものがあります。ひも理論などもそのため工夫されています。ただ、四つある物理の力の中で、重力だけは正負が無く、正だけで在る事に注目する必要があります。外の力は電磁気力などで分かるように正負が在り、消し合いますが、重力は正しかないので微弱でも足し合わさるのです。」と言うものでした。アマチュアの私に誤解があるかも知れませんが、この説明には、思わず「そういう事ですか」と申し上げ、沢山待つ外の人々の次の問いに譲りました。多くの人が各々の質問を持って、先生を囲んでいましたからね。

ここに、「微弱だけれども、物理量として、正負のうちの正しかない」とは、それは将に「重力の根深い本質」なのかもしれませんね。

この答えで一つ思い出したことがあります。それは「慣性の法則」で、「静止している物はいつまでも静止していて、動いている物は同じ速度でいつまでも動いている」と言うものです。其処には実のところ、「大宇宙の全質量がその物に作用し、いつまでも同じ状態を保つようにしているのだ」と言う説明が附されていました。宇宙の全重力がひたひたとお互いに足し算で影響を及ぼし合っていると言う解説に、全くのアマチュアながらも合点が行った感じがしております。

最後に、本講演の解説には、重力波が遂に観測されたことで、「人類が宇宙をみる全く新しい手段を手に入れた」ことになると、その意義が強調されていました。日本でも岐阜県飛騨市の神岡に「大型低温重力波望遠鏡 KAGRA」が建設されていて、この4月に試運転が進められているとのことです。この国も世界最先端の一隅を照らしつつあるのです。


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