備忘録(24)歴史の残る?バイデンvsトランプのテレビ討論
11月の米大統領選に向けて、民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領とのテレビ討論会が6月27日夜(日本時間28日午前)開かれました。議論の中身を見れば、例によってトランプ氏の嘘やはぐらかしが目立ちましたが、話し方のパフォーマンスを見ると、声がかすれて弱々しく、ときに言いよどんだバインデン氏の老体ぶりが際立つことになりました。共和党は7月、民主党は8月に党大会を開き、それぞれの大統領選候補を正式に指名しますが、今回のテレビ討論の結果を受けて、民主党がバイデン氏を指名するのか微妙な情勢になってきました。
大統領選のテレビ討論は通常、党大会の指名があってからですが、今回は党大会前という異例のものになりました。両党とも、大統領候補を決める予備選の早い段階で候補者が決まり、このふたりによる大統領選が事実上始まっているため、党大会を待たずに最初のテレビ討論が開かれたのです。
大統領選のテレビ討論は、選挙の行方を左右するなどといわれますが、実際には、予行演習を繰り替えしたのちの舌戦ですから、終了後は、どちらの陣営も「勝利」を宣言するのが常です。しかし、今回は、民主党内からも「大惨事」といった声が出るほどのバイデン氏の「失態」で、民主党はパニックに陥っているようです。
党大会で指名権を持つ州ごとの代議員は、すでに指名する候補者を決められていますから、民主党でいえば、バイデン氏の指名する代議員がほかの候補を指名するわけにはいきません。民主党がバイデン氏以外の候補者を選ぶには、バイデン氏が立候補を取り下げるしかありません。しかし、本人はやる気満々といわれていますから、それも難しいかもしれません。またバイデン氏が辞退して、新しい人が指名されたとしても、あのトランプ氏と渡り合えるのかという疑問もでてくるでしょう。知名度がある代打としては、ハリス副大統領、ホイットマー・ミシガン州知事、ニューサム・カリフォルニア州知事らの名前が挙がっています。
これから、討論会後の世論調査の数字がでてきますが、現在は拮抗しているバイデン氏とトランプ氏の支持率が、トランプ優位で大きな差がつくようであれば、民主党はバイデン氏に引導を渡すことになるかもしれません。米大統領選のテレビ討論というと、1960年のケネディ(民主)対ニクソン(共和)の対決が勝敗を決めたという意味で歴史に残っていますが、今回の討論も歴史に残るものになりそうです。
(望楼の写真は、テレビ討論を報じるCNNのウェブページ)
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