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パリ同時テロ、次の標的は?

2015.11.15 Sun
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パリの同時テロで、二つのことが頭をよぎりました。ひとつは、今回のテロはIS(イスラム国)の勢力の誇示というよりは追い詰められているのではないか、ということ。もうひとつは、次の標的に日本がなってもおかしくない、ということです。

ISは、国家を標榜し、最高指導者をカリフと名乗ったり、行政組織を設けたりしてきました。イラクからシリアにかけてのかなりの地域を支配し、恐怖政治と同時に、イスラム教スンニ派の人々の一定の支持を得てきたと思います。疑似国家の様相も呈していたと思います。

し かし、シリアのアサド政権の要請を受けてロシアが9月末からISに対する空爆を開始する一方、アサド政権を支持してきたイランも地上部隊をシリアに投入、 ISへの攻勢を強めてきました。シリア問題に関する国際会議も開かれ、米国、ロシア、イランという関係主要国が参加、IS退治の目的で、アサド政権と反体 制派との和解に向けた動きが加速しています。こうしたIS包囲網には、トルコやイラク 、シリアなどに分断されて住むクルド人も加わっているようです。

こ のところのISをめぐる情勢を見れば、今回のテロは勢力の誇示よりも組織のあがきというように思えます。もちろん最後のあがき、と言うには時期尚早です が、IS攻撃が効果がないと判断するのも間違いだと思います。もし、ISが自分の領土をちゃんと確保している自信があれば、わざわざ海外でテロを起こす必 要はないでしょう。

もうひとつの論点ですが、ISはテロ後の声明のなかで、シリアへのフランスの空爆に対する報復だと主張していました。そ れなら米国を攻撃すべきだと思いますが、米国内で本格的なテロは難しいと考えたのでしょう。戦争では、相手の弱い部分を攻撃するのが常道だと言います。対 IS包囲網の弱い部分としてフランスが狙われたのではないかと思うのです。

そう考えると、日本もIS攻撃には加わっていませんが、IS包囲網に加わったとして敵視されているのは、今年1月に、日本人ジャーナリストの後藤健二さんがISに殺されたことで明らかです。そういう点では、包囲網の弱い環として日本が狙われる可能性はあると思います。

た だ、今回のテロの犯人像が次第に判明していますが、フランス国籍を持つ容疑者も複数いるようで、フランス国内で育ったとすれば、いわゆるホームグロウンテ ロリストというわけで、多くの移民を受け入れてきた国の悲劇と言えます。日本はそういう土壌は十分とは言えないと思います。過剰に脅える必要はないと思い ますが、イスラム過激派などの人物や武器などのモノの流入を水際で阻止する努力が必要でしょう。


この記事のコメント

  1. うるさいおじーさん より:

    対話の呼びかけを忘れるな
    世界はイスラム国との対話を100%あきらめていないか? 空爆を行うにしても、本来は、話し合いを望むが止むを得ず行うものであるという気持ちを表明すべきである。
    特に、イスラム国が弱体化した時、最後まで徹底的に壊滅させるのでなく、何らかの説得が必用だろう。徹底的に壊滅させたと思っても、種が残る。強力な種を残さないため、徹底的に痛めつけるのは危険である。対話の用意があることを相手に伝えておくべきである。

  2. タロウ より:

    パリの同時多発テロを聞いて本当にショックを受けましたね。まず気になったのがEU内の結束です。シリア難民がドイツを目指すことには意義がありませんが、その手前のハンガリーあたりでは根強い反移民感情があると聞きます。その片が心配ですね。

    胃兪内のЮ

  3. 高成田 享 より:

    フランスが軸になって、米、英、ロ、イラン、イラクの反ISの大連合ができつつあります。関係国の間で対立していたシリア・アサド政権の取り扱いは当面、アサド政権を容認ということでしょう。気になるのは、アサド容認によって、この連合からはじき出されるイスラエル、トルコ、サウジなどの国々です。黙って引き下がるとは思えません。

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