シマウマが、馬のように家畜にならなかったのは?
シマウマが、馬のように家畜にならなかったのは?
平成30年9月
仲津 真治
1 これは、小学生の頃、図鑑の頁を繰っているときに、素朴に抱いた一つの
疑問でした。 この長年の率直な問いに、この程、明白な答えが見付かりました。
ジャレド・ダイアモンド博士が、その著で、極めて明確に記しているところによ
れば、良く知られているように、シマウマはアフリカに棲息てしいて、四種類
居ますが、何れも歳を取るに連れ、どうしようも無く気性が荒くなり、危険になると申します。
一方、馬は、中に気が荒くななるのもいますが、馬という「種」全体がそうだと言う事が無い由です。 従順な馬も結構います。 これに対し、シマウマは種に共通した危ない性質があり、「一旦、人に噛みついたら絶対に離さない。」と申します。 まるで、亀のスッポンを思い出しますが、あの白黒の縞模様や柔和な外形からは想像もつきませんね。
動物監視員で、毎年噛まれ、怪我をする人は、虎よりシマウマの方が遙かに多いと言います。また、シマウマをロデオの如く投げ縄で捕まえる事はまず出来ないとの
こと、・・・・・もし出来るならサーカスのショーの例を見たら分かるように、既に取り入れているでしょう。
斯くて、馬と違って、シマウマが人に飼われず、家畜とならなかったのは、その
危険な性質から来ると言う事の様です。
2 このシマウマの典型例で分かるように、著者は、家畜になるかならないの分か
れ目は、人の文化より、対象となる動物(主に大型哺乳動物の側の性質によると言
います。
それらを項目の如く示しますと、餌の問題、成長速度の問題、気性の問題、パニックになりやすいかどうかの問題、序列ある集団を形成するかどうかの問題、繁殖上の問題などが或る様です。 何がどうなのか、各項目を見ていると、或る程度察しがつきますね。
このうち、傑作なのは、最後の繁殖上の問題です。人と違って「獣は」などと言いますが、俊足で知られるチーターは、その性行動を見られるのを特に雌が嫌がると申します。 雌は、雄が極めて荒っぽい求愛行動を取らない限り、応じないとの事です。
斯くて、チーターの俊足に期待して、犬を凌ぐ猟犬型チーターを得んとする試み、つまり、チーター家畜化は、悉く失敗してきたと言います。少なくとも、雌雄のチーターは、家畜となって、人が見るようになったら、交尾などは出来なくなるのでしょう。
実に興味ある事実です。
前の記事へ | 次の記事へ |
コメントする