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恐竜博:毎年新しい事が分かって来る

2016.03.12 Sat
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ほぼ毎年のように恐竜博が開かれます。驚きますね。何故かと主催の方に聞きますと、矢張り人気があるからだそうです。大人も子供も随分やって来ます。中でもお母さんと子連れが多いですね。かくて、恐竜をテーマに、三ヶ月ほどの会期にして、国内三箇所ほどで特別展を打ち出せば、一年近く、話題をさらうことが出来る感じです。

でも、それには、見せる材料が必要です。ところが、それが毎回出てくるのが、恐竜の凄いところ、新しい発見や考え方がその度に現れて来るのです。恐竜の棲息が三畳紀、ジュラ紀、白亜紀と約一億六千万年間も続いたからでしょうか。かような長期の蓄積ゆえ、次から次と新しい化石が見つかり、解釈が更新され、新学説が登場するようなのです。

今回展示もそうで、目玉は王者ティラノザウルスを凌ぐ大型の水性恐竜「スピノサウルスの」登場になっているようです。斯くて外国人を含め、結構な入りとなっていました。

因みに今回は恐竜博2016と銘打ち、来年一月初めまで、各三ヶ月余の会期で、東京上野、北九州、大阪天保山の順に開催されて行く由、私はこの三月初めの上野での見学に行動を起こしたと言う分けです。これはと思う点を中心に幾つか記して参りましょう。
1 恐竜の起源

恐竜は、爬虫類の仲間ですが、爬虫類の典型的なその姿は鰐の如く、胴体から四足を突き出して、四つん這いになって歩くとされるのに対し、恐竜は膝の真下に脚を伸ばして、二足で歩くとされてきました。ただ、突然そうなったのでは無く、両者間に連続的な進化があった事が、今回の発掘研究で知られた来たようです。それは、「アシリサウルス」と言う種の発見で、地層の露出の乏しいアフリカの奥地で見つかったとの事です。

その歩き方は四足歩行ですが、四つん這いでは無く、所謂「四つ脚」と言う獣に近い形をしていたみられ、恐竜の起源と言う扱いになっていました。その移動は、四つん這いに比べ、明らかに速く、滑らかでした。展示に登場する動画では、早速、この「アシリサウルス」が盛んに姿を見せていました。
2 植物(草)食の恐竜が居た!

恐竜は肉食で登場したと考えられていますが、途中から、植物(草)を食べる食性を開拓したと見られるものが居るようです。植物なら、まずいけれども、動かず豊富に在りますからね。

ただ、そうはいっても咀嚼に適さない歯しかありませんから、彼等が選んだ道は、消化管を長くすることでした。その収容のため胴体を大きくして、やたらと巨体を指向するようになったと見られます。

もっとも、今回の展示で注目されたのは、小振りな「チレサウルス」と言う新種でした。何と2015年報告の由、植物食と言い、その名前から南米のチリに由来すると申します。草食に適した、しっかりした歯を持って居たと言います。
3 飛ぶこと

恐竜と系統が違う翼竜は、皮膜で飛び、巨大化したものが居て、グライダーと比すべきものまで現れたと言いますが、恐竜の方では羽毛を持った種が登場して居たと言います。それを用いて滑空するものが表れ、その中から二翼で飛ぶものが生じ、鳥類へ進化したと見られている由です。

一方「イー」と言われる、2015年中国から報告された例は、むささびのような皮膜をもって飛んだと推測されています。恐竜で皮膜を持つとは想定外とされ、また、現代に続く鳥類には皮膜を持つものが居ないので、この進化は今のところ失敗に終わったと見られていると言います。
4 水中進出

実は、「ティラノサウルス」を凌ぐ、「スピノサウルス」と言う巨大な肉食恐竜が居た由、その標本がドイツのミュンヘンに在ったのに、第二次大戦中空襲で失われてしまったと言います。ために、大変謎が深まっていた由です。

しかし、近年アフリカのモロッコで新しい標本が見つかり、それに基づき2014年に全身骨格が復元されました。全長実に15m、ティラノサウルスを明らかに凌ぐ大きさでした。
今回、この二つの復元像が対比して展示されていたのは、迫力がありましたね。日本でこうした恐竜博が開かれるのは、大した事だと思われます。ただ、ティラノサウルスは後年生で、両者は棲息の時代が違うので、併存していた分けでは無いようです。

スピノサウルスは、四足歩行していました。四足歩行する獣脚類は初めての発見と言います。そして、その骨は中空ではなく、詰まっていたのです。斯くて、水中に潜み泳ぐと言う、水性生活に適したものと見られています。程良い重さが無いと、浮いてしまったのでしょう。そうした水性の肉食恐竜は初の発見の由、これを元に、肺呼吸ですが、魚の如く水中を泳ぐ「スピノサウルス」の姿が想像のDVDで描かれていました。
5 恐竜は恒温だったのか?

昔、恐竜は爬虫類と同じく、変温動物だったと習いました。でも、今回の展示では、恐竜はその初期から羽毛を持っていたと見られると言うケースを展示していました。それは、2014年の、シベリアから報告された「クリンダドロメウス」の例で、鳥類のような羽毛を持って居たのです。しかも、それは鳥類の系統へ進化する枝分かれの前に生じていたため、「恐竜の初期から羽毛あり」の見方を根拠づけるもとになっているようです。

斯く、いろいろと興味深い事がありそうですね。恐竜それは、新発見が加速している世界なのかもしれません。今特別展は、東京では6月12日(日)まで、上野の国立科学博物館にてです。


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